秋山流「病気治療」

院長 秋山 勇人

脊柱管狭窄症

この疾患は椎間板ヘルニアがなくなってくる50代から多くみられるようになってきます。

 症状は椎間板ヘルニアとよく似ていますが、あまり長く歩けず、しゃがんだりして少しずつ休みながらでないと歩けない「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と言う症状が特徴です。

 椎間板ヘルニアとの決定的な違いは、椎間板ヘルニアが急性なのに対し、この脊柱管狭窄症は年齢と共に積み重ねてきた慢性疾患なので、大半の人はこの疾患になります。

 症状が激しいか、激しくないかの違いはありますが老化と共に椎間板は薄くなってしまいますので、極端にいうと誰もが予備軍であると言える腰痛です。

 40代になってくると、椎間板は徐々に水気を失い薄くなってき、ゼリー状だった髄核も柔軟性を失い、飛び出してこなくなります。

 すると、椎間板ヘルニアは起こらなくなってきますが、かわりに、脊柱管狭窄症が起こりやすくなります。

 これは、椎間板が薄くなることにより、腰椎を守っている靭帯がたるみ、そこにカルシウム等が沈着すると骨棘(こつきょく)という骨のでっぱりができ、これによって腰神経を圧迫するようになるからです。

 中高齢者でヘルニアの手術をするといっているかたのほとんどは、実はこの脊柱管狭窄症の場合が多いのではないでしょうか。

 病院ではおそらく、脊柱管狭窄症といっても患者さんが分かりにくいので出っ張る事を総じてヘルニアと説明されているのだと思います。

 すでに手術が決まってからいらっしゃる方も多くいますが、鍼灸治療でよくなる場合も多く、お悩みの方は、まず先に鍼灸治療を受けてみられたほうがいいのではないかと思います。
 
 鍼灸治療はこの脊柱管狭窄症に対してはとても有効で、当院でも一番多く扱っている疾患の一つです。

 鍼灸の治療効果ですが、脊柱管狭窄症といっても骨棘のでっぱりかた次第で、激しい痛みの出る方もいらっしゃればそうでない方もいらっしゃいますが、来院される患者さんの約8割くらいは軽度で、その方々は1~5回の治療で、残り2割の比較的重度な方は、長くみて10回程度で症状が軽減していきます。 

 特に重症な患者さんでは、週3回の3ヶ月といったような治療期間が必要となる場合もあります。

 脊柱管狭窄症の患者さんは1000例ほどあり、中には途中で諦めた方もいらっしゃいましたが、症状の激しい方でも、根気よく治療されることで生活上問題がなくなるようには改善されてきます。

 さきほど述べた骨棘の出っ張りは簡単にはなくなりませんが、腰椎の関節にある軟骨は再生してくれるので、それにより隙間が開き神経の圧迫が解消されるからだと思います。

 どの場合でも症状が軽減してから2~3ヶ月治療を継続し、症状が再び悪くならない様にしていきます。
 
 また、腰椎の症状には筋力をつけるのが何よりも大切で、完治の難しい脊柱管狭窄症も、鍼治療を継続しながら、ご自身でウォーキングをするとかなり回復していきます。これこそが完治への一筋の光明といえるでしょう。
    (2010/11/15)

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