まず脊椎は、どこからどこまででしょう?
頚椎7個・胸椎12個・腰椎5個・仙骨1個(・尾骨1個)という骨から構成されています。
主に彎曲を起こすところは、腰・胸・頚椎となるでしょう。
よくTV番組やCM等で「骨がずれている」とか「骨盤がゆがんでいる」という表現を耳にします。
しかし本当に、脊椎が彎曲しているということは、骨がずれているということでしょうか?
上で述べた、仙骨・腰椎・胸椎・頚椎どれをとっても、上下の相対する関節面というものが必ずあり、
その関節面によって連結し、重なって形成されています。
例えば、後ろから人間を見て、腰や背中が曲がってみえるときがあります。
これは骨盤や、その中でも仙腸関節の関節面の一ヶ所がずれているわけではありません。
先程述べた頚椎7個・胸椎12個・腰椎5個・仙骨1個(・尾骨1個)の一つ一つの骨(椎体)が少しずつ変形することによって起こってくる病態なのです。
しいて例えるならば、昔よくお土産屋で売られていた木のへびのおもちゃで、何ヶ所かの関節が少しずつ傾斜することによって大きなカーブをつくっているのです。
ですから、脊椎が彎曲しているというのは、よく言われている骨盤のずれなどというものではありません。
それは、老化だったり、骨粗鬆症だったり、習慣的に形成されたりと、原因はいくつかありますが、「椎体」とよばれる骨の変形によるものなのです。
なので、ずれを矯正して直すというものは本当はできません。
ですが、椎体が変形していて彎曲があったり、左右の足の長さが違ったとしても、筋肉がしっかりしていて、血流のよい状態であれば、ふつうは問題ありません。
腰椎の骨折などでも、筋肉や血流の状態をよくしてあげれば、痛みも改善でき、生活にも支障がありません。
ですから、「骨盤がずれているよ」と人から言われても、気にすることなくウォーキング等をして筋肉を鍛え、胸をはっていきいきと生きていきましょう。
さて、脊椎の彎曲の場合、鍼灸治療はどこで活躍するかといいますと、中国三国志の時代に華佗(かだ)
という名医がおりまして(映画『レッドクリフ』にも出ておりました。)
その華佗が考案した「夾脊穴(きょうせきけつ)」というツボがあります。それは、椎体関節を治療でき、軟骨が減っていて変形している関節も治療できるのです。
誰しも、軟骨は摩耗するのですが、その都度、自己治癒力によって再生しているのです。
毎日これを繰り返しているのですが、老化や使い過ぎ、または体重の増加などによって再生が追い付かなくなってきているのです。
鍼灸治療は、その追いつかなくなった再生を数倍のスピードに促し、軟骨の状態の改善を図り、炎症や腫れをとり痛みを改善します。
また、これは身体じゅうどの関節にもあてはまります。